2023年9月15日
今月の事務所便りより
必要性の高まるナレッジマネジメント
◆必要性が高まる背景
ナレッジマネジメントとは、社員個人が持つ知識やノウハウ・経験を、企業全体で共有化し、作業効率の改善や創発的な仕事につなげる経営管理手法です。
属人化のデメリットは広く言われており、コロナ禍によってそれが顕著に表れた企業も多いでしょう。気軽なコミュニケーションの機会や情報交換の場がなくなってしまったことにより、社員の持つ有用なノウハウや暗黙知の伝承といったことが行われず、企業の力をボディーブローのように奪っています。また、働き方の多様化や人材の流動性が高まっており、企業の知識・経験・ノウハウの喪失機会も増加しています。
そうしたことから、ナレッジマネジメントの重要性が増してきています。ナレッジマネジメントのツールもいろいろありますが、社内wiki(データベース)や社内FAQのような比較的取り組みやすそうなものから始めるのも一法でしょう。
◆導入のポイント
ナレッジマネジメントを導入する際のポイントとして、よく挙げられるのは次のことです。
・ナレッジマネジメントについての全社員の理解を得る
・ナレッジの定義、運用ルールを定める
・蓄積されたナレッジから重要なものを見分ける
・スモールスタートで始める
・ナレッジを提供したことを評価する仕組みを作る
ただ、これら以前に重要なのは、仕事内容や業務の流れ・手順などがドキュメント化されていることです。ナレッジをデータとして扱う(他人が見て使える形にする)以上は、これは必要なことです。業務マニュアルも作れていないようでは、ナレッジマネジメントも成功しないと言ってもよいかもしれません。
また、社員がその重要性を認識して参加してくれなければうまく機能しませんから、コミュニケーションの改善が重要です。現時点で、自部門の利益だけを優先する風潮が強い、社内の風通しが悪いといった企業では、まずはそれらの改善から着手する必要があるでしょう。
企業の持つ力の底上げにつながるナレッジマネジメントに、取り組んでみてはいかがでしょうか?
(事務所便りR5.10月号より抜粋)